十五年目 3
太陽が高くなるにつれ、蝉の声は大きく響くようになる。夏も終わろうとしているのに、一日中ミンミンやらジージーやら鳴く元気はどこから湧いてくるのかと不思議に思う。
タソガレドキはオーマガトキと戦をしている真っ最中だ。決着がつかないままに戦は長く続いている。その最中、体調を崩したり負傷する者も多かった。
雑渡と手負いの者たちは、小頭と数十人ほどの部下を現場に残しタソガレドキ領に帰ってきていた。それぞれが里の家で怪我を本復させ、再び合戦場に戻る目処を立てている。
あれから半月が経過していた。
雑渡の屋敷では、高坂が雑渡の世話に当たっていた。
タソガレドキ忍者隊の忍び組頭である雑渡昆奈門も先のいくさで手負いの身となっていた。
真昼間の強い日差しが廊下に柱の影を濃く落としている。
その廊下では、ばたばたという地鳴りがしていた。尊奈門が水拭き掃除に励んでいるのだ。先のいくさで打撲していたはずの足を使い、しっかりと廊下を蹴って雑巾掛けをしている。怪我の具合はいいらしい。
それにしても喧しい。元気なのはよろしいが、無駄に元気なのは迷惑だ。
高坂は顔をしかめた。
「陣左ってば、そんなに怖い顔をして。さてはわたしの世話が嫌になったな」
向かい合っていた雑渡に眉間のシワをほぐされて、高坂は慌てた。
「ち、違うのです。ただ、私は尊奈門の元気の無駄遣いを何とかせねばと思っただけでして」
誤解なのだと訴える高坂に雑渡は笑った。
「元気の無駄遣いとは言いえて妙だね。なるほど。確かに尊奈門にはそういうところがあるかもしれない。あいつはいつでも全力だからね」
「特に煎餅に対しては全力中の全力ですね。もう少し、忍務の方にもそれが発揮されるといいのですが……」
高坂は尊奈門の先輩らしく言った。後輩の落ち度は先輩の、つまり高坂の落ち度なのだ。尊奈門がしくじれば、高坂の指導力が疑われる。ひいては、忍び組頭である雑渡の手腕に疑問がもたれてしまうかもしれない。それは絶対に避けたかった。
まだまだ、尊奈門いは口を酸っぱくして言わねばならないことが山のようにある。
そんなことを思いつつ、頭のどこかでは何かに全力でいられることの大切さを感じていた。
全力になるとは夢中になることだ。夢中になるということは一心になるということだ。
意志の強さ。芯の強さは忍びにとっては大事なものなのだ。
不意に、あの少年の姿が浮かんできた。
合戦場で仲間を助けてくれた人物。
彼もまた、一心だったのだろう。
そんなことを考えつつも、高坂が雑渡の包帯を解く手を止めることはなかった。
桶に張った水が尊奈門の立てる振動で緩やかな波紋を描く。
高坂は眉を吊り上げ、動きを止めた。
「おい、尊、うるさいぞ。組頭のお体に障る。もっと静かに動け」
「だって、汚いんですもん。いくさで屋敷を空けていたのが大体ひと月くらいで……その前も私は用事があってここの掃除が出来てませんでしたし……。組頭がご自分で掃除なさるとはとても思えませんし」
「それは失礼だなあ」
と雑渡。
「じゃあ、お掃除なさったんですか。屋敷中かび臭いし埃っぽいですよ」
尊奈門は腰に手をあてて憤慨した。
「やだなあ。私だって掃除くらい出来るけどさ。尊奈門の仕事がなくなると思って、とっておいてあげたんだよ」
「なんとお優しい……。おい、尊奈門。今の組頭のお言葉を心に刻んで日々に励め」
高坂は咽んだ声を上げた。
「馬鹿言わないで下さい。何が「とっておいてあげた」ですか! 仕事なんてやってもやっても減りゃしない。あーあ。瓶の水は変な臭いを放ってるし。あれだけ家を空けるときには水瓶をカラにするようにって言ったでしょう。洗って水を汲みなおさなきゃ」
尊奈門は肩を怒らせながら出て行った。
「尊奈門は相変わらずにぎやかだ」
雑渡は尊奈門の背中を目の端で捉えて笑った。
「はあ。忍びとしてどうなのかと……」
忍務から退いている時とはいえ、あからさまに騒がしくなるのはどうかと思う。忍びは常日頃から忍びの心得を忘れてはならない。
雑渡の包帯をすべて解き終わったところで高坂はその手を止めた。そういえば合戦場でこの包帯を巻いてくれた少年の行為も忍びとしては首を傾げることだった。
彼は忍術学園の生徒であった。
忍術学園。
噂には聞いたことのある組織ではあるが、はっきりいってほとんどが謎だ。
その介入してきた謎の組織の一味、もとい、一生徒の名前は善法寺伊作。六年は組。保健委員であり委員長。性格はおっとりとして怒らない。きわめて不運。
以上のことが、高坂の報告であった。
高坂の一報を聞いた時、雑渡は少しだけ眉を動かし「なるほど」と呟いた。
「組頭は忍術学園をご存知でしたか……」
そう訊くと、
「いや……知っているのは、そういう組織が存在しているということだけだ。優秀な忍びを育成する組織だと……」
「あの善法寺少年を見た限りでは、とても優秀な、とは言えないような気が致します」
高坂は伊作の鈍い動作を頭に思い起こした。
「はは。まあ、中にはそういう、のんびりした子もいるんじゃないの。でも、忍者の教育として質がいいのは確かだと思うよ。何と言っても、学園の頭が大川平次渦正だもの」
「大川平次渦正! あの伝説の天才忍者ですか?」
高坂は色めき立った。顔も姿も出自も知らないが、その名前だけは知っていた。風よりも速く走り、忍び込めない城はなく、どんな忍務もしくじりはしない。ものすごく腕の良い忍びであったのだ、と。
いまだ健在で、尚且つ、自分に続く優秀な忍びを育てる学園を築いていたとは驚きである。
「最早、その名前は一種の伝説でしたから実在するとは……。組頭はその大川平次渦正の活躍をご存知なのですか?」
「彼の伝説は忍者隊の諸先輩方から聞いたに過ぎないかな。実際にこの目で見れるものなら見てみたかったよ。勉強することがたくさんありそうだ」
「そうですね」
「でも、出会ったら最後。返り討ちに遭いそうだ」
「組頭に限ってそれは……」
高坂は雑渡の肩を持った。いくら伝説の忍者だと聞かされていても、高坂の知っているすごい忍者は雑渡ただ一人なのだ。
「いいや、陣左。油断してはいけない。彼は最強にして最恐なんだ」
「さ、最恐、ですか?」
凄む雑渡に、高坂は問い返した。
「大川平次渦正は、この乱世を影で支配していると言っても過言ではない」
「……」
「諸侯大名たちは、彼に睨まれたら身の破滅だと言って過度な振る舞いを自制しているんだ。もちろん、我々タソガレドキとて例に漏れない」
雑渡は含めるようにして言った。
タソガレドキはいくさ好きの城として名を有していた。しかし、当事者たちからすれば、その「好き」という表現には頷けない。好き嫌いで人が死んだり城が潰れてたまるものか。
闘わなければならないから、だからそうするのだ。この世の中には綺麗な口上だけでは護れないものがたくさんある。
しかし、どんなに高尚な理由があろうと、いくさはいくさ。
その城の潰し合い、領地の奪い合いに関わる限りは、タソガレドキも大川平次渦正という古老の手の内ということなのだろうか。
高坂は初めて聞く雑渡の話に怖気が走る思いだった。先が分からない戦況でも、自分たちを信じて出来る限りの働きをしてきた。自分がタソガレドキの忍びであることを誇りに思ってきた。同時に、いくさに負ければ、それは即ち、国が滅びることなのだと自分を追い詰めてもきた。けれど、もしも、タソガレドキの運命さえも操れる存在がいたとしたら……。見える敵よりも性質が悪い。見えない存在だからこそ、余計に恐ろしい。
「……大川殿は、我々を偵察させるために善法寺伊作を合戦場へ寄越したのでしょうか……」
今までの話を合算し、善法寺伊作のいた状況を考えると、そういう疑問しか浮かばない。
「いいや。違う」
雑渡は間髪入れずに高坂の疑問をいなした。
「あの偕老だったら、あんなに隙だらけの子どもに嗅ぎまわらせるようなマネはしないよ」
「……もっと上手くやる、と?」
「少なくとも、あの手当て大好き少年よりかはマシなのを寄越すんじゃないかな。っていうか、そうじゃないと悲しすぎる。タソガレドキがナメられてるっていうことになっちゃうから」
「確かにそうですね」
もしもそうであった場合は、タソガレドキ忍者は尊奈門みたいなのばかりではないのだ、と訂正しに乗り込まなくてはならない。
「それに、あのじいさんは食えないからねえ……。まっ、自分が動かなくてもすべての状況が分かるくらいの人脈は持っているんじゃないかな」
雑渡の口ぶりは、まるで本人をよく知っているようなものだった。もしかしたら、高坂の知らない関わりがあったのかもしれない。
そのことを訊こうか訊くまいか、しばしの間、高坂は逡巡した。けれど、結局は訊かなかった。必要なことであれば、いずれ分かる。
「でも、良い組織ですね。忍術学園」
「おや、敵になるかもしれない相手に対して余裕だね」
忍術学園を卒業した後の生徒には、即戦力となる忍びの道が開けている。どんな忍びになるかはそれぞれだが、城に就く者も多いだろう。
「タソガレドキは最強です。どんな城、どんな忍びにも屈しやしません。しかし、その最強の根幹を揺るがす存在が……」
「……もしかして、尊くんのこと?」
「もしかしなくても尊奈門のことです。まったく。尊奈門も忍術学園に入れて勉強させ直したいくらいです」
「あはは。それって、わたしや陣左の教育に不都合があったって認めているようなものじゃないか」
雑渡は声を立てて笑った。
「いえ、決して組頭の教鞭がどうのという話ではなく……」
結局、それは尊奈門の資質や性質の問題なのだ。
「でもさ、忍術学園で勉強したとしても、あの善法寺伊作くんみたいに、忍者としてはどうだろう……みたいなのが出来上がっちゃうかもしれないよ」
「た、確かに」
「尊奈門も善法寺伊作くんも、根は悪くないんだよ。たぶん、忍者としての根本は間違っていないんだ。ちょっと目を向けている先が違うだけでさ、きっと」
一心の向かう先が違う、か。
高坂は一人呟いた。
確かに、二人の破天荒ぶりは高坂には真似ができないものだ。
まあ、真似したいとは思わないのだが……。
そんなことを思いながら、高坂は薬の蓋を開けた。
「どう思いますか」
真剣な面持ちで訊く。
「どうって」
「善法寺伊作のことです」
「ああ。保健委員長くんか。でもせめて、礼くらいせねばなあ。わたしだけでなく、部下も世話になったわけだし」
「そうではなく」
「……というと?」
高坂の意図するところが分からない様子で、雑渡は小首を傾げた。
「あなたは顔を見られてしまいました。タソガレドキの者ともバレております」
顔を見られたのは雑渡だけではない。伊作を追跡していた折、高坂自身も素顔を見られるという失態を犯したのだが、いまだ雑渡には報告していない。もしかしたら知られているかもしれないが……。
「だからどうした。言っただろう? 彼に害はないって。ちょっと変わった……人の善い忍者のたまごってだけさ。縁があればまた会うかもね」
ふいに関わりを持ってしまった組織との折り合いを危惧する高坂を尻目に、雑渡は意に介す風もなかった。
何か考えがあるのか。
……いや。おそらく、考えの有る無しではなく、雑渡は自分の目を疑っていないのだ。
一目見て、善法寺伊作を信頼に足る人物と捉えた自分の目を。直感を。
「善法寺伊作。名は何とやらと言うけれど……本当に人の良さそうな名だ。その天性の人柄がこの乱世において吉と出るか凶と出るか」
「……吉凶ですか。今のままでは凶だと思いますが……」
忍びとして生きていくのにあのやさしさは窮屈すぎだ。或いは、枷となるに違いない。情にほだされやすい者は騙されやすい。まさに隙だらけだ。隙があれば敵につけ入られ易い。
タソガレドキ忍者であったらなら、許されない振る舞いだ。
難しい顔をした高坂の肩を雑渡が叩いた。
「凶だと言い切るとは、陣左も手厳しいね。でも、確かに甘ちゃんとしか言い様がないなあ。まず忍者には向かないだろうね」
「組頭はあの子どもが忍者になれる可能性はないとお考えですか?」
「出来れば合戦場みたいに物騒なところには居ない方がいいんじゃないかと思うけど、忍者になれないとは言ってないさ。むしろ向かない奴の方が立派に成功したりするんだよ」
「そんな……ものですか」
「ああ。向いてないって分かって、でもどうしても諦め切れなかったら努力するしかないだろ。色々、頑張るしかないだろ。向いている奴よりも熱心にね。だから成功するのさ。でもねえ、さすがにやっていることに無茶が過ぎるからなあ。矢が雨みたいに降る場所で手当てしてるんだもん。自分の身を守れって突っ込みたくなるよ」
「心配になりますか?」
「……心配してはいけないかい?」
雑渡は曖昧に笑った。
高坂は笑わなかった。
忍びとは強くあるべきなのだ。強く、ただ強く。雑渡も高坂もそう教えられてきたし、そういうものだと思ってきた。そうでなければならないと肝に銘じている。時には心を鬼にして振り切らねばならないこともたくさんあった。慈悲の心を悪だというつもりはないが、過ぎればそれは身を持ち崩す。すなわち、忍務の失敗。運が悪ければ命を落とす。
善法寺伊作は六年生。それが分からない歳でもないだろう。それともただの阿呆なのか。分かっているのは善意の塊のような人間ということだけだ。手本になるくらいのやさしさを持ち合わせているが故に、忍者に不向きという不運。しかし、その不運に雑渡を巻き込んでもらっては困るというのが高坂にとっての正直な気持ちだ。今は何も影響がないが、もしも善法寺伊作が害になるようなことがあれば、たとえ雑渡の意に逆らっても排除せねばならない。
「さて、次に保健委員長くんに会ったらどうしようかな」
雑渡は機嫌が良さそうだった。
高坂の心中とは裏腹に、どうやら、意図しないところで雑渡の中に伊作への関心が芽生えているようだった。
薬を片付けながら高坂はぼんやりと思った。そういえば、あの合戦場で伊作に声をかけたのは雑渡の方からだったな、と。
「おい」
土手から声を掛けると、くりっとした利発そうな目がこちらを向いた。
「高坂さん。長話しは終わったのですね」
「長は余計だ」
相変わらず生意気な口を利く後輩を高坂は半眼で睨んだ。
「水なんて、小さい甕に入る程度でいいぞ。どうせ、すぐ合戦場に戻るんだ」
「分かっています」
尊奈門は怒ったような返事をした。
高坂は息をついた。川辺まで近づく。
「何だよ。拗ねるくらいなら、わざと怒って出て行くような真似をしなくてもよかったのに。秘密にしなくてはいけないような話はしてないぞ」
妙な気の遣い方をする尊奈門の癖を、高坂も雑渡も見抜いていた。二人だけの話もあるだろうと、尊奈門は気を回したのだ。
「知っています。どうぜ、善法寺くんのこととか話していたんでしょう?」
「まあ、概ねは」
「私が言いたいのはそのことじゃないんです」
「何だ」
「ウチとオーマガトキのことです。ウチの勝ちでいいじゃないですか。っていうか、ウチの勝ち決定でしょう? 何をそんなにチンタラやっている必要があるんですか」
「……まあ、チンタラやる必要はないわな。いくさは短期決戦が基本だ」
いくさには金がかかる。兵糧、武器、給金。日数が多くなるほどそれは比例する。
それにいくさの期間が長引けば、兵の士気にも関わる。長期のいくさでは多くの兵が疲弊し戦う意欲をなくしていく。
居合い抜きのように一瞬で、とまではいかなくても、短い間に勝敗を期すというのが兵法だ。
それなのに。
それを承知で、いくさを長引かせている。
なぜか。
結論は一つ。
それは即ち、必要だからだ。決着がついていないように見せかける必要。いくさを長引かせる必要。
それは高坂自身も感じていた。
「どうして終わらないのでしょう……組頭も小頭も何も教えてくれません」
尊奈門は呟いた。陽を弾きながら川は流れていく。
「まだ、それを知ってはいけない」
「え?」
「お前は、それを知るべきでない。訊くべきでもない」
高坂は好奇心に溢れた後輩を窘めた。尊奈門ははっとした。
「尊奈門。忍びには知っていい事と知ってはいけない事がある」
不用意に情報が広がれば味方の中に混乱が生じ、統率がとれなくなる。最悪なのは、謀が敵方に漏れることだ。情報を盗られることは勝機を盗られることだ。誰も意地悪で黙している訳ではない。
「……すみません」
尊奈門は素直に頭を下げた。高坂は浅く頷いた。尊奈門も気持ちが分からないわけではない。
高坂は何事も聞かされてはいないが、どうやら雑渡と小頭である山本あたりは、何がしかの主命を受けているようだ。主命に背くことなどありえないが、雑渡と小頭がそれに承服しかねている様子は高坂にも感じるところがあった。
しかし、どのような忍務なのか、殿はどのようにタソガレドキを導くつもりなのか、そして、雑渡と小頭がどのような考えを持っているのか。いくら雑渡の側近であるとはいえ、一介の忍びである高坂がそれらを知る由もない。
知る必要はないし、知ってはいけない。
ただひたすら忠実に、命令に逆らうことなく、感情を表に出さず、己の心を捨て、己の全てを鋭く折れない武器にして、主のために忍びの技を使う。それが忍びのあるべき姿だ。決して、誰かにやさしく手を差し伸べたり、笑顔を振りまいたりすることが忍びの行為として相応しいとは思えない。相応しくはないと思ってしまうのは、高坂自身がそういう忍びにはなれないと分かっているからだ。
善法寺伊作のような……。
「いずれ、時が来れば分かる」
高坂は静かに息を吐いた。
「そうですね。考えたって始まりませんものね」
「そうだ。大体、尊奈門には考える頭がないものな」
尊奈門は考えるより先に体が動く部類の人間だ。
「何ですって?」
尊奈門は目を吊り上げた。
「私だって頭くらい使いますよ」
「へえ」
「何を本気で驚いた顔をしてるんですか」
「いや、お前の頭って、体の安定をとるために乗ってるだけだと思っていたから」
「はああ? 私の頭は飾りなんかじゃありませんよ。いいですか。この中にはたくさんの知識が詰まっているのです。煎餅の」
「煎餅かよ」
「ふんだ。いいですよ。もうオーマガトキとのいくさのことは考えません。寝ても醒めても煎餅のことを考えることにします」
「そんな時間があるんだったら、鍛錬をしろ」
妙な結論に至ってしまった尊奈門に、高坂は口を尖らせて説教を始めた。
本当に、忍術学園に入れてやろうかと思った。
つづく
20120420